足りていない魅力 : Zeiss Planar 85mm F1.4
Fujifilm GXR 50R
時は2009年、今は令和2年、2020年だから11年前。Zeissから発売された85mm F1.4のマニュアルレンズ。50mmのプラナーの方が圧倒的に有名だった、当時はデジタル一眼レフ全盛期。当時の僕は見向きもしなかったシロモノ。しかし、当時のボクではきっと気づかなかったその魅力。
万能ではないけど、一つ突き抜けている方が使いやすいというか、愛着が湧きやすい。
妻が西新宿で、何やら講演会なるものに参加したいということで、愛息を連れて新宿御苑に行きました。1時間半程度ですが、僕は気になっていたプラナーの特徴を知りたかったので、天気も良くお互い自由に楽しめました笑
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All Photograph is taken with ZEISS Planar 85mm F1.4 ZF on GFX 50R
経験としてはDistagonのボケは自然で滑らかで静謐さを作り出すと思っています。一方でプラナーのボケは、奥行き感よりもヌメッとした絵画的な感じを受けています。抽象的で言葉選びが難しいですが。
ここしばらく王道プラナーの85mm F1.4を使って気づいたことは、絞り開放付近の甘さ加減と、そこから来る表情がたまらなく今の僕の好みにあっていることでした。
時代にそぐわなくなってきたストリートフォトのようなリアルさとは真逆
中距離になるとピントあっていようともだいぶ甘いのですが、立体感よりも柔らかい表現が際立ちます。雰囲気でイメージを伝えたい時、被写体に注目させたい、でも差し込むような鋭利さは必要ない。そんな時です。
また開放付近の破綻プリというかフレアっぽい空気感がたまりません。これらはレンズ特性にプラスしてラージフォーマットのセンサーの恩恵も多分に感じています。他のレンズでも是非試したいですが、今まで拾えてこなかった淡い光を少し足されているようにも思えます。
85mmは一般的にポートレート中望遠的な位置付けが多いですが、換算67mmになるので、感覚的には中望遠よりは標準域に近いです。
あとは、光の捉え方です。
個人的な経験から(only先入観) Zeissのレンズの特徴はまさに光の受け方、捉え方だと思ってきました。確かに発色は良いと思いますが、実はルミナンスLuminance(ざっくり輝度)の方が鋭いです。モノクロだとより強調具合が分かりやすいと思います。ライカは階調が優れていて、Zeissは光の勝ち取り方がより鋭い。
分かりづらいですが梅が煌く。子供いてあまり寄れませんでした
落ちかけの陽を浴びて白がフンワリ
アクロスで、白が光沢を帯びる。もっとアンダーにすればよかった
贅沢の極みですね。
妻との結婚10周年を迎えた今年ですが、ちょうど結婚を考えプロポーズした頃に発売されたレンズで今をのぞく。
それから10年以上経って、今のレンズと比べたらシャープさは開放でも絞っても敵わないのですが、淡い儚い足りない写りが、優しさを与えてくれます。
機会があれば自分が生まれた年代のレンズを使ってみたいものです。